sanwacompany Art Award サンワカンパニー社長特別賞
高島マキコ
サンワカンパニー大阪ショールーム展示風景 2022
INTRODUCTION
Primitive Re_flection
「素」の自分に戻ろうと化粧を落とし鏡に映った姿を見て、ふと本当の自分とは何だろうか、と考える。人間は鏡の中に自身のアイデンティティを見出す。また、多くのメディアの中にも、理想の自分を探してきた。加工された姿が瞬時に拡散する現代で、本当の自分を見つける事など、不可能だと思えてくる。鏡は神話や絵画の中で、ありのままを写す「真実」の象徴である⼀⽅で、美しさと永遠性を求める欲望、「虚栄」も表していた。
本展示では、人間が認知できる世界を越え、新たな物事の視点を表現する「Bodaiju」を中心に配置した。菩提樹は、仏陀がその下で悟り‘個⼈と世界が⼀体化する体験’を開いたことでも知られる。また周辺に、太古の人間が水面に見た自身の姿をイメージした「Re_flection」を配置した。嘗て水面に映る柔らかく曖昧な⾃⼰像は近代的な、「個」ではなく周囲の⾃然や他者と⼀体化していたはずだ。そこで⽣まれる微かな自意識は、最も「素」に近い⾃⾝の姿なのではないか。作品では、表⾯のわずかな変化やその下に沈む⾊彩により歪む、社会的な記号を取り払った本当の姿を映し出す。個⼈を超えた視点と時間軸で瞑想を促す、「素」の⾃分に戻れる空間を表現した。
PROFILE
アートにおける身体性を探求するメディアアーティスト。プロダンサー、モデルとして活動後、身体と空間の関わりを探究するために渡英。ロンドン芸術大学Central Saint Martinsでパフォーマンスアート、Goldsmiths Universityで哲学を修め、Royal College of ArtのInformation Experience Designコース修士を首席卒。 哲学からの発想をベースに、無意識と個人のアイデンティティ、音・光・空気といった自然現象と動きのエネルギーの可視化、テクノロジーと身体の融合をテーマとし、立体・インタラクティブアート・平面・映像など幅広いメディアで表現する。 社会的な視点、詩的な発想、テクノロジーや身体性の表現を特徴とする。 代表作の「Hopeful Monster」では、生活の中で感じた違和感を、集合的無意識・民俗学的神話のモチーフへと昇華。加速度センサといったテクノロジーにより、装着可能な「サイボーグ」として、現実世界の中に実体化し、自身の身体性に還元させた。 エンジニア、コンサルタント、建築家、研究者など世界各地で様々な分野と協働。2019年より日本を拠点に活動。
グループ展示には、”SICF21” SPIRAL Tokyo, 2021, Any Tokyo Exhibition, Tokyo 2019, “Open sense festival” London 2018, “Friday Late show” Victoria and Albert Museum, London 2017, “Time machine, Science fiction” Piccadilly circus, London 2017, “Sci-Fi design Bio future”, RCA, London 2016 パブリックアートとしてBattersea park sculpture award 1st Prize, London 2017 など。
参加会場
〒530-0011 大阪府大阪市北区大深町3−1 うめきた・グランフロント大阪北館 ナレッジキャピタル5F ハウジング・デザイン・センター大阪(HDC大阪)内