奥中章人
INTRODUCTION
INTER-WORLD/SPHERE: Cocooner (インターワールド/スフィア:コクーナー)
虹彩に輝く楕円球型の風船作品を設置し、光と空気のやわらかい彫刻を現出させました。 作品に当たる光は淡く広がり、幻想的な色彩を体験できます。風が吹くと空気の流れに反応して作品全体が揺れ動きます。 《世界の泡構造》と《関係性のダイナミズム》をモチーフに、光を映す薄いフィルムで作られた被膜と、わずかな気圧差で自立する構造体は、目には見えない空気の存在を感じることができます。
『 私達の見えない関係性にも形があり、形があるので構造があり、そして機能があると思います。それらについて考えていくと我々を地球上で育んでくれている「空気」や「光」の性質や力学 に、私達の関係性の形はとても類似していると思います。』
奥中は具体的な鑑賞体験を通して、通常は目に見えない人と空気の関係を可視化して観念の世界へ誘います。日照条件や観る角度で色合いが変化する表象は、自己の変動性や多面性、人間の多様性社会を肯定的に反映し、さらに空気を通じて私たちに地球環境の重要性を暗示しています。
Cocooner(コクーナー)とは、マイホーム主義者やヒッキーの俗語ですが、繭の中に引きこもる人を意味します。作者はこの言葉がコロナ禍で関係性を制限された私達を表していると考え、作品の形を繭のようにしました。この苦しい時代の中で私達が変態し、羽ばたくことを願っています。
協力 : 住化積水フィルム株式会社、株式会社ホログラムサプライ、株式会社イーテック、木津川市 山城総合文化センター: アスピアやましろ、あおいおあ
協力者 : akira_you、中室健、西川元晴、藤木健史、吉川賢、船越 鈴賀、松澤芳子、山本 瑞穂、 宮村尚道、成田貴亨、米田湧泉、金池学 (順不同・敬称略)
PROFILE
美術家。1981年京都府生まれ、同地在住。あおいおあ / AO Institute of Arts 共同代表。木津川市山城総合文化センター 体感アート講座 主宰。静岡大学教育学部を卒業した奥中は、静岡県立美術館ならびに知的障害者の社会福祉施設にて美術遊びの講師を務めたのちに近現代の思想を学び美術家となった。国内外の助成を得てフランス・韓国・中国のAIRで長期研修を受ける。各地の地域アートで研鑽を積み、体験的な巨大作品やワークショップ開発をする美術家として国内外で発表している。主な活動として、2021/ 北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs、2019/ LUXELAKES A4美術館ARIE国際レジデンスプログラム、野村財団芸術文化助成、2017/ 六甲ミーツ・アート主催者特別賞、モスクワ国際ビエンナーレ・パラレルプログラム《Yearning for The Sky》、川口市立アートギャラリー・アトリア《アートで解明!空気の正体》、2016/ 木津川アートグランプリ+市民賞など。 http://world-akihito.com https://aoioa.art